
あらすじ
「おのれェェェ! ついに見つけたぞ! 我が父と母を奪い、土の中から連れ去った憎き悪魔よ!!」
暗く冷たい段ボールの牢獄から這い出し、涙で潤んだ芽を見開きながら、幼きジャガイモ兄弟は絶叫する!
彼らの視線の先にいるのは、無慈悲な笑顔で皮むき器を構える、巨大な巨人!
そう、これこそが一族の悲願! 血で血を洗う、壮絶なる復讐劇の幕開けだッ!
「兄者! 怖いよ!」 「怯(ひる)むな弟よ! 我らの体に流れるデンプンの誇りに懸けて、奴に一矢報いるのだッ!」
二人は勇猛果敢に飛びかかる!
だが、彼らを待ち受けていたのは、あまりにも残酷で、あまりにも鮮やかな『スライサー』という名の処刑台!
シュパパパパパッ!!
ああっ! なんということだ! 彼らの強靭な肉体は、向こう側が透けて見えるほど極薄にッ!!
さらに 息つく暇もなく彼らを襲うのは、地獄の釜のごとく煮えたぎる、黄金色の灼熱マグマ! 「熱い! 熱いぞ兄者ァァァ! 体が…体がァァァ!!」 「耐えろ弟よ! この業火を耐え抜いた先にこそ、復讐のチャンスが…!」
断末魔の叫びと共に、彼らの水分は奪われ、その体はカリッカリに硬化していく!
そして仕上げに、空から降り注ぐ白き粉雪…!
復讐の鬼と化した兄弟は皮肉にも、その憎悪と熱によって人類を魅了してやまない、悪魔的なまでの『美味さ』を手に入れてしまったのだ…。
パリッ…サクッ…
「う、うまい…!!」
親の仇である巨人の口の中で、最高の音色を奏でながら、兄弟の短くも熱い一生は幕を閉じるのであった…

堅あげポテトが好きです!



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