「ダイエット失敗常習犯」のあらすじ
「きょ、今日だけは…！今日だけは神様も許してくださるはず！ 明日から…明日からこそ！ 私の本当の戦いが始まるのだからァァァ！いつまでも…いつまでもこの私が …この見るも無残な三段腹を揺らす哀れな豚野郎のままだと思うなよォォォォォォ！！」
午前様もとうに過ぎた丑三つ時、悪魔の祭壇のごとく煌々と光を放つファミリーレストラン。
両手にはホールケーキとピザをがっちりホールドし、涙と鼻水と謎のよだれで顔面をぐっしゃぐしゃにしながら、天に向かって絶叫する哀れな女！
その血を吐くような悲痛な決意の言葉とは180度裏腹に！
「パクッ！ハフハフ…んまーーーーい！…グッチャグッチャ、ズルルルル、ズゾゾゾーッ、ゴックン…ぷっはぁーーー！至福！」
食欲という名の、あまりにも強大で、あまりにも魅惑的で、到底抗うことなど不可能な悪魔に、光の速さで魂を売り渡し、秒で屈した彼女の口からは、この世の終わりを告げるかのような悲しき叫びと、あまりにも幸せそうで、あまりにも官能的で、あまりにもリアルすぎる咀嚼音だけが、深夜の静寂を無慈悲に切り裂いて虚しく響き渡る！
ああ、ダイエット失敗の殿堂入りは確実！ 三日坊主界のレジェンド！ リバウンドの女王にして「明日から頑張る」教の熱心な信者！
悲しくも愛すべき、そして救いようのない常習犯！
彼女の、今日もまた寸分の狂いもなく華麗に繰り返される、お約束の悲劇と絶望と、ほんのちょっぴりの多幸感に満ちた一夜。
この無限地獄のデブ・スパイラル・カーニバルから、果たして彼女が解脱できる日は、地球が滅亡するまでに訪れるのだろうか！？
ファミレスで聞こえてきた会話を元に描きました。ダイエットはまず食生活の見直しからだよね…
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